国民民主党案「103万円の壁を178万円に上げて手取り増やす」の実態分析

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 国民民主党は「103万円の壁を178万円に上げて手取りを増やそう」とする公約(以下では国民民主党案と記す)を掲げ、2024年秋の衆議院選挙で大躍進しました。この国民民主党案、一見すると、給与所得者の誰もが期待する素晴らしい提案に思われ、肯定的に評価される一方で、給与が高いほど手取りが増える、減税額が巨額に上るなど批判的な見方もあります。 本当のところどうなのか、国税庁の給与実態調査資料を基にして、国民民主党案の中身を具体的に推定計算してみました。

 ただ国民民主党案は、103万円の壁を178万円に引き上げよ、というのですが、その差75万円をどんな方法で上げるのかについては(新年1月31日時点でも)明らかにしていません。そこで現行の基礎控除と同じように扱って、給与収入の多寡にかかわらず一律に75万円所得控除を増やすという条件で推定計算を行いました。

 その結果、国民民主党案は、手取り増は低給与所得者にはわずか、高給与所得者ほど多く配分され、パートやアルバイトで働く人々には一層長時間の労働をうながす効果をもたらす、つまり社会的にみれば、国民民主党案は所得格差を一層拡大し、その一方で大量の低賃金労働力を生み出すことになる、と指摘せざるを得ないことがわかりました。

 政治・行政の最も重要な責務の一つは社会的弱者の生活支援、救済であり、税金に関していえば所得の再分配によって所得格差の低減解消を目指すことです。国民民主党案はこの政治・行政の責務と真逆の施策といえます。

 推定計算の経過は以下のファイルに述べています。少し長文ですが読んでみてください