総選挙政策 2012年総選挙の日本共産党の改革ビジョン 原発ゼロと震災対策

(総選挙政策 日本共産党の改革ビジョン)

3.「即時原発ゼロ」の実現を――エネルギーと日本経済の未来をひらきます

11月26日

日本共産党は、9月に「即時原発ゼロ」の提言を発表し、「再稼働反対」「原発なくせ」「いますぐなくせ」という、首相官邸前から全国各地に広がった広範な市民の運動と連帯し、行動しています。

政府も「過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」と認めざるをえなくなりました。ところが、口では「原発ゼロ」とか「脱原発依存」といい ながら、大飯原発の再稼働を認め、大間原発の建設を再開し、新しい核燃料を作るための使用済み燃料の再処理をすすめるなど、現実には、原発推進政策を続けています。

国民の安全よりも、財界のもうけを優先させる「自民党型政治」に、国民のいのちを託すことはできません。

すべての原発からただちに撤退する政治決断を求めます

日本共産党は、つぎの諸点をふまえ、「即時原発ゼロ」の実現を提案します。

原発事故の被害はなお拡大を続けており、2度と原発事故を起こしてはなり ません。〈2〉原発稼働を続ける限り、処理方法のない「核のゴミ」が増え続けます。〈3〉原発再稼働の条件も、必要性も存在しません。〈4〉国民世論が大 きく変化し、「原発ゼロ」は国民多数の願いとなっています。

このように、ただちに原発の危険を除去する必要性、緊急性がいっそう切実になっています。

●日本共産党は、次の諸点を政府に求めます。
――すべての原発からただちに撤退する政治決断をおこない、「即時原発ゼロ」の実現をはかること。
――原発再稼働方針を撤回し、大飯原発を停止させ、すべての原発を停止させたままで、廃炉のプロセスに入ること。
――青森県六ケ所村の「再処理施設」を閉鎖し、プルトニウム循環方式から即時撤退すること。
――原発の輸出政策を中止し、輸出を禁止する
  「即時原発ゼロ」は可能です

過渡的な緊急避難として、火力での電力確保が必要ですが、その時期は5~10年程度とし、その間に、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への移行をはかります。

原発推進勢力は、原発をなくせば、経済も社会も大混乱するかのように言っています。しかし、国民は、全原発の停止も体験しましたが、推進勢力が言う混乱は何も起きませんでした。

電力不足は起きなかった……「猛暑の夏」を原発なしで乗り切りました。関西電力も、大飯原発を稼働しなくても電力は足りたことを認めました。

原発こそ高コスト……「コストが高くなる」と原発推進勢力は言いますが、再生可能エネルギーは、大規模な普及と技術開発がすすめばコストは大幅に下がります。原発こそ、いったん大事故が起きれば、莫大な経済的損失が発生し、電力会社の負担も巨額になります。

再生可能エネルギーへの転換で、日本経済と産業の新たな可能性を開きます……再生可能エネルギーの潜在量は、原発の発電能力の約40倍にものぼります。ドイツでは、原発関連の雇用は3万人ですが、再生可能エネルギー関係は38万人です。雇用効果も、地域経済への波及効果も、原発よりはるかに大きな可能性をもっています。

エネルギーの国産化で「資源のない国」からの転換がすすみます。再生可能エネルギーは、これからもさまざまな分野で技術開発、実用化がすすめられる産業であり、技術革新の大きな起爆剤になります。

●電力体制の改革にただちに着手します……発送電の分離など、再生可能エネルギーの大規模普及にふさわしい電力供給体制の改革をすすめます。

福島の被災者支援と復興に、総力をあげて取り組みます

政府が昨年12月に行った福島原発事故「収束宣言」を撤回させます。賠償と除染、生活支援、復興支援で、不当な「線引き」をせずに、すべての被災者・被害 者を対象にすることを求めます。生活と生業が再建され、希望する人が故郷に帰り、命と健康を守る医療や介護、子どもたちの教育を保障し続け、「原発事故前 の安全・安心の福島県」をとりもどすまで、そのすべての過程で、国の責任で復興を支援します。

国の災害政策の抜本的な転換を提案します

今後、日本列島は、さまざまな災害に直面することが予想されます。東日本大震災の復興対策の改善・強化をはかりながら、その教訓をくみとり、国の災害政策を根本的に転換して、国民のいのちと生活をまもる体制を構築していくことを提案します。

住宅と生業再建への公的支援を復興の基本原則にすえます…… 「個人財産の形成になる」といって、住宅、商店、工場、医療機関などの復旧を支援しないという、旧来の災害対策の「原則」を取り払い、住宅と生業の再建に 必要な公的支援をおこなうことを復興の基本原則にすえます。二重ローンに追いつめられずに住宅を再建するための支援や、店舗・事業所・工場の再建にたいす る支援などを行います。

支援策の「線引き」をやめ、すべての被災者・事業所を支援の対象とします……同じ 災害の被災者でありながら、「規模」や「競争力」を口実に、支援策に差別を持ち込むなど許されません。事業再開の支援策が「一部の事業所」に限定されるの では、雇用は減り、地域経済はしぼみ、結局、「一部の事業所」も救われなくなります。被災地の事業所や産業基盤を“点”ではなく“面”として支援する施策 に転換します。復興策のなかで大型開発を優先するやり方を転換し、高台移転、住宅再建、漁港整備など、被災者の生活再建にかかわる公共事業に財政をふりむ けます。

「期限切れ」といって支援策を打ち切る、非情な政策をただします……恒久住宅のめどもないまま仮 設住宅の期限を「2年」に区切る、医療・介護の減免措置を一方的に打ち切る、被災者への失業給付の延長措置も打ち切るなど、実態からかけ離れた「期限つ き」支援策が、被災者の暮らしと健康を脅かしています。生活と生業の再建を最後まで支援し、被災者とともに歩む政策への転換を求めます。

復興予算の流用に道を開いた民自公の「3党談合」による「復興基本法」を改正します

昨年、「復興基本法」が制定されたときに、民主・自民・公明の談合で、「被災地域」に限定されていた支援対象を全国に拡大し、「活力ある日本の再生」を追加 するなど、流用が可能になるように法案が書きかえられました。復興予算の流用をただちにストップさせるとともに、「復興基本法」を改正します。