ハンセン博士 地球温暖化に挑む の要旨

NHKBS1 『地球温暖化に挑む』の要旨
NASAゴダード宇宙研究所
・ジェームス・ハンセン博士
氾濫する地球温暖化記事の中で、ハンセン博士の報告は、主観を排して、リアルに温暖化の危険性を訴えるものでした。要旨、JCP-ECO事務局でまとめてみました。
・今の状況は、地球の危機・非常事態。
・目に見える変化になっていないのは地球システムが状態を保とうとしているから。例えば、海は4000mの深さがあり反応するのには時間がかかる。
・ハンセン博士の研究にはじまりは『金星』から。金星の大気は二酸化炭素(CO2)が96.5%と微量の窒素。温暖化し地表温度は460℃と灼熱。地球はCO2 0.03%。地表温度 15~17℃で生き物が住める。このCo2濃度が増加していることに着目した。
・1981年、シュミレーターを使って気温の変化を調べた。過去100年で平均気温が0.4℃上昇していた。原因はCO2だと発表。1982年アメリカ議会で報告。
・20世紀に入って地球の平均気温(14℃)が0.8℃上昇。特に80年代以降に加速。CO2濃度が高い。アース・オブサービスシステムで情報収集。特に北半球での上昇が激しい。2100年には平均気温は2.7℃上昇する。
・人類の文明は始まってまだ数千年。これまで安定した気候の中で発展してきた。・1℃~2℃の上昇で地球の環境は大きく変貌し生き物の生存不可能。
・海水温度が2℃上昇するだけで台風
・ハリケーン・大雨・洪水のリスクが高まる。100年に一度という規模の熱波・旱魃で飢餓・栄養失調・環境難民がでる。
・温暖化は水不足を起こし、生活基盤を破壊する。生物の多くは死滅する。
・危機を回避するための時間はそう多くない。
・現在溜まっているCO2だけで0.5℃上昇を引き起こす。・数年以内に違う道を歩みだすべき。
・2007年夏・日本でも観測史上初の40.9℃の高温を記録した。
・北極では、日本列島とほぼ同規模の広さの氷海が減少した。・極地の氷の溶解が加速している。「南極大陸」は氷床(厚さ4000m・42万平方km)で囲まれている。これの溶解が起こっている。『テイッピング・ポイント』(ある現象が急激に大きな変化を起こすこと。)
・2007年、北極海の氷は30年前の半分になった。・グリーンランドでも氷床が大きく変化。毎年150平方kmづつ減少している。
・南極西部でもほぼ同じ。氷床の融けるスピードが速くなっている。南極の氷床は地球上の真水の70%。これが、大崩壊の危機にさらされている。
・2002年、南極の棚氷が大崩落した。『ラーセンB』(東京都の1.5倍の広さ。これがたったの35日で崩落し、7500億トンの氷が生みに流出した。
・過去の歴史をみると、14000年前最後の氷河期に水位の上昇があった。
・世界の多くの国の大都市は沿岸沿いにある。ツバル・モリジブなどさんご礁の島、東京都でも1mの上昇で首都圏で400万人が被害にあう。
・IPCCは21世紀末の海面上昇を18~59cmするとしたが、報告書には但し書きがある。『氷床の研究がまだ限られている。将来における急速でダイナミックな氷の流出を考慮していない・・・』と。・気候変動は、テッピング・ポイントを超えると元には戻すことは不可能。
・気候は人類のコントロールを超えて被害を生み出す。
・慎重に観測し98%確実になってから行動では遅い。あと10年議論をしましようという時間はない。数年で行動を起こすべき。
・過去、温度が1℃高くなっただけで海面水位が上昇し始めたことを忘れてはならない。・・・・・・科学への政治介入は省略。
・温暖化防止のキーワード『COAL 80% of solution』石炭を80%削減。最近石炭の使用が増加している。過去5年で3割増加し、石炭が石油の2倍に。新規の火力発電所建設はやめるべき。先進国は2~3年うちに廃止すべき。 エネルギーに占める石炭比率。 アメリカ  50%。 中国%、インド70%。・石炭に使用をやめることで、気温上昇を1℃範囲に抑えること可能。
・切り札は「炭素隔離貯留技術」実用化までまだ10年はかかる。
・それまで、①省エネ(技術開発の可能性)     ②再生可能エネルギー・省エネ電球を使うとか言われる。それも大事だが。
・温暖化をストップさせるには国や国際社会のリーダ-シップが大事。市民個人の努力だけでは温暖化問題の解決はできない。政治に関心を持ち、政治を変えることが必要だ。 人間が今こそたちあがっていくとき。勇気ある政治家が必要だ。