164-参-国土交通委員会-3号 平成18年03月16日
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
まず、先の議員の皆さん、時間の御協力、本当にありがとうございます。
私、今日は、高速道路問題で質問させていただきます。
大臣は、先日の所信で、四十兆円の債務返済、そして真に必要な道路をできるだけ少ない国民の負担で建設すると述べられました。そこで、第二名神高速道路のいわゆる大津―城陽区間、そして八幡―高槻区間の抜本的見直し区間、ここの扱いはさきの第二回国幹会議でどういうふうになされたのでしょうか。
○国務大臣(北側一雄君) 二月七日に開かれました第二回の国幹会議におきまして、今おっしゃいました第二名神の二区間三十五キロにつきましては、一つは、構造規格の見直し等によりまして三五%を超えるコスト削減を行い、三五%のコスト削減というのは三千八百億円でございますけれども、この削減を行いまして整備計画における概算事業費を変更すると、これが一点です。二点目が、主要な周辺ネットワークの供用後における交通状況を見まして改めて事業の着工について判断することとし、それまでは着工しないと。三点目に、これらを前提といたしまして、会社が整備する区間とするというふうにしたところでございます。
○小林美恵子君 着工について判断し、それまでは着工しないという御答弁でございましたけれども、先ほど、主要ないわゆる周辺ネットワークの関係ですけれども、それは一体どのいわゆる路線を指しているのか。そして、それがいつこれを開通、接続するのか。どういう交通状況を、どの路線の交通状況を見られるのか、この点も教えていただけますか。
○政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。
第二名神の大津―城陽間、八幡―高槻間に関連する主要な周辺ネットワークについてのお尋ねがございましたが、いろいろあるわけでございますが、第二名神の亀山から大津間や、第二京阪の枚方東―門真などが想定されるところでございます。
これらの道路につきましては、現在西日本高速道路株式会社や国土交通省などにおいて事業を進めているところでありますが、用地買収が路線によって異なりますが、まだ終わっておらないというような状況でございますので、周辺ネットワークの供用時期について明確に述べることは難しいわけでございますが、おおむね三、四年後というようなものを今例示を挙げさせていただいた路線につきましては想定をさしていただいているところでございます。
また、当該周辺ネットワークが完成した場合、現在の名神高速道路や京滋バイパスなどの交通量や交通の流れに大きく影響を与える可能性もあることから、大臣の答弁にございましたように、また国幹会議にお諮りしましたように、主要な周辺ネットワークの完成後の交通状況等を見て改めて事業の着工について判断することとさしていただいておるところでございます。
○小林美恵子君 この区間は、先ほどもお話もございましたけれども、いわゆる名神に並行して京滋バイパスが開通していますよね。二〇〇三年開通しました。その京滋バイパスをいわゆる建設するに当たっての理由も名神の渋滞を解消するためだと。同時に、いわゆる第二京阪と一体となって高速道路の利用の利便性を飛躍的に向上させるんだということで京滋バイパスの建設がなされたと私は思っております。
その上に第二名神、今、当面着工しないという話なんですけれども、しかし、計画はありまして、それで第二名神ができますとトリプルの並行になるんですよね。本当にそれがトリプルの並行で必要なのかなという点なんですね。しかも、道路公団民営化の審議の際にも、高速道路建設が一キロメートル平均五十億円の大体費用だということが明らかになりました。この二区間は六倍もの建設費が掛かっていることも明らかにしました。今回の、大臣がおっしゃった三千八百億円の削減案を仮にできたとしましても、二区間で三十五キロ、六千八百億円掛かります。一キロ当たりにいきますと約百九十五億円なんですね。莫大な費用なんです。普通でいくと五十億円がここだけは百九十五億円です。
私、これが本当に無駄な道路を造らないと、本当に国民の負担を少なくすると、こういうことと本当に合致したことなのかと言いたいと思うんですけど、この点、いかがなんでしょうか。
○国務大臣(北側一雄君) 道路公団民営化の目的の一番大きな目的は、道路公団の負っているこの債務を四十五年以内に確実に償還をしていく、これが一番の目標でございます。今回の第二回の国幹会議におきましては、一定の前提条件、これは将来の調達金利や料金水準等を含めまして、一定の前提条件の下で第二名神の抜本的見直し区間も含めて会社整備区間すべてを建設したとしても、すべての債務を四十五年以内には返済できる見通しであるということが確認をされているところでございます。
そして、この民営化の目的のもう一つ柱でございます真に必要な道路はコスト削減はしっかりやりながらも、これはこれからも会社の自主性を尊重しながら整備をしていくということでございます。
そういう意味で、この第二名神につきましては、私はやはりこの人の交流と物流を支える非常に大事な大動脈となる重要な路線であるというふうに考えておりますし、また、災害時においては、現在の名神高速道路が通行止めとなった場合における代替路線としても必要な路線というふうに考えているところでございます。
京滋バイパスというのは、これは非常に国幹道の規格外の道路でございまして、委員も御地元でいらっしゃるからこの京滋バイパスも御存じかと思いますが、この京滋バイパスがそういう意味では大動脈と言うには当たらない道路であるというふうに私は考えておるところでございます。
○小林美恵子君 いや、私はやっぱりいわゆる抜本的見直し区間も含めて債務を返済というふうな仕組みをつくっているというようなお話がございましたけれども、結局は九千三百四十二キロすべてを造る仕組みが温存されているということを言わざるを得ないと思います。これではやっぱり無駄な道路を造らないというのは全くの公約違反ではないかということを私は御指摘したいと思います。
そこで、採算の問題についてもお聞きしたいと思うんですけれども、このいわゆる見直し区間の二区間の建設や、管理費用等交通料収入から算出された採算性ですね。いわゆる大津―城陽区間、城陽―高槻区間、それは何%でしょうか。
○政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。
第二回の国土開発幹線自動車道建設会議の参考資料にございますように、第二名神の大津ジャンクションから城陽間につきましては投資限度額比率は六二、第二名神の城陽―高槻第一ジャンクション間につきましては投資限度額比率は一九となっております。
投資限度額比率につきましては、御案内かと思いますが、管理費用をすべて料金収入で賄った上で更に料金収入で返済できる建設費の割合ということでございまして、先ほどお示ししました、国幹会議でお示しました評価区間全体四十二区間ございますが、大津ジャンクション―城陽間の投資限度額比率は上から六番目、城陽―高槻第一ジャンクション間の投資限度額比率は二十四番目というようなことでございます。
○小林美恵子君 上から何番目とか二十四番目とか、そういう問題ではないと思うんです。大体一九%ということ自体が問題だと私は思うんです。
それで、私ちょっと手元に持ってまいりましたのは、西日本高速道路株式会社の債務返済のイメージの試算というのがあるんです。これでいきましたら、二〇〇八年度、いわゆる交通予測に基づく料金収入は六千六十億円です。人件費などの維持費など千二百六十億円、差し引いて四千八百億円なんですけど、結局これが債務返済の原資として機構に払っていくものになるかと思うんですね。そこに新たないわゆる道路建設のための費用といいますのは二〇〇八年度で二千百七十億円です。つまり、元々借金しているのにですよ、借金返していかなければいけないのに新たに二千百七十億円も借金して、そうして四十五年間を試算するというような、こういう流れになっているんですね。
これでいきますと、少しでも交通量、それから料金収入が伸び悩めば返済に影響してくるわけですよね。今でも不採算という状態なのに、私どうして新たに借金してこの道路を造らなくてはいけないのかと思うんですけど、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。
今の委員の御指摘はそのとおりかも分かりませんが、この民営化の議論の中で、前提として政府・与党の中できちっと議論されて、その枠組みの中でこの国幹会議を経て、今三月を迎えて機構、各会社の方で協定を交わすような準備をしているということでございます。
その前提の中で、高速道路ネットワークをいかに早く建設するかということでございます。大臣の答弁にございましたように、きちっと四十五年で四十兆円に上る債務を償還すると、そのために徹底的なコスト縮減を図って、今御指摘の第二名神につきましても一応償還できるというような枠組みの中で答えさせていただいているわけでございます。着工につきましては改めて判断するという前提でございますけれども、そういうきちっと四十五年で償還できるというようなことで国幹会議にお諮りさしていただいたということかと思っています。
○小林美恵子君 ただ、私が指摘したことはそのとおりだというふうに局長はお答えになりました。それはそれで真摯に受け止めていただきたいと私は思うんです。
それで、交通量が予定どおりになるとは限りませんよね。この先、いわゆる補修費用も老朽化すれば増大することも懸念されていきます。償還計画とか会社の経営状況が悪化した場合は一体どうなるのかと。料金の値上げ、税金の投入、国民の負担による償還計画の見直しは、これはもう絶対にしてはいけないと思いますけど、この点は大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(北側一雄君) そのためにまさしく機構がありましてね、機構がしっかりとこの民営化の一番大きな目的でございます債務償還を確かにやっていく、そのための計画がきちんとなされているかどうか、そういうものをチェックしていくのがまさしく機構でございまして、その機構との間で今月の末までに各民営会社との間で協定を交わすということになっているわけでございます。
ただ、今委員がおっしゃったように、先の経済情勢というのは当然今想定しているのと変化してくる可能性は、これはあるわけでございます。そういう意味で、仮に交通量が減少等によって料金収入が当初計画よりも大幅に下回るような場合においては、建設コストの縮減だとか管理コストの縮減を更に実施するなど、また建設計画そのものを見直していくなど、新たな国民負担が発生しないようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○小林美恵子君 先ほど建設計画も見直すということも答弁をされましたけれども、改めて、そういう経営状況が悪化するような状態になりましたら、新規建設などは絶対やめるということですね。
○国務大臣(北側一雄君) 大切なことは、何度も申し上げておりますけれども、債務を確実に償還をしていくというところでございます。それをきちんとチェックをしていくために機構という組織があって、協定も各会社と交わしていくことになるわけでございます。経済情勢が大きく変化して、今おっしゃったように、交通量が大幅に減少するとかそういう情勢になった場合も、国民負担が発生しないように建設計画の見直し等々やっていくということになるかと思います。
○小林美恵子君 私、いわゆるこの抜本的見直し区間の実態はどうなのかということも、是非、もう大臣も局長も関西の方だと。大臣、大阪の方でございまして、よく御存じだと思いますけれども、私は改めて申し上げたいというふうに思うんです。
今日、お手元にカラーの地図を用意しました。(資料提示)一枚目の地図は、これは枚方の地図なんですけれども、中央のオレンジがいわゆる第二名神の予定、予定区間といいますか、になっています。二枚目は高槻ですね、これです。三枚目は全体なんですけれども。
いずれにしましても、例えば枚方では大体約十キロのうち五分の四が地下で建設される予定に、予定では建設されるんですね。それで、地上に上がってきたときには、船橋地域というところがございまして、六百世帯、二千人の方がお住まいの府営住宅の目の前に高速道路が地上にくっと上がってくるんですね。それから、高架橋で高度を上げながらずっと中学校とか淀川を越えて、それから高槻へ抜けていくという流れになるんですけど、そのときに、私は先日お会いして、マンションにお住まいの方がいらっしゃったんですけど、そのマンションはエレベーターを中央にして左右にお部屋があるわけですけれども、この道路がもし建設されるとしますと、中央のエレベーターから右半分が解体せざるを得なくなるんですね。それでは本当に三十年来住み慣れた方々が、これは本当に、もうずっと本当は住み続けたいというふうにおっしゃっておりまして、私は、先ほど局長が命の道とかいうふうに、安心、安全の道とかいうふうにおっしゃっておられましたけれども、これでは安心して住みたいという住民の皆さんのそれすらも奪うような道だというふうに言わざるを得ないなというふうに現場へ行きまして実感をしてまいりました。つまり、住宅密集地の真ん中を高速道路が突き切っていくというような状態なんですね。
で、二枚目のところを見てもらいますと、これは高槻なんですけど、ここは道路の予定地のそのすぐそばに学校がございます。学校の、本当に小学校の上空をぎりぎり越えて高速道路がこう突き進むという形になるんですけれども、もうそういう点では本当に密集地なわけですね。特に、枚方市では計画予定地、西船橋、南船橋、船橋本町、樋之上、楠葉花園町、楠葉並木等とあるんですけども、一九九四年の都市計画決定時でいきますと、五千二百八十九世帯だったのが今はこの三月で六千八百三十八世帯になっています。
私は、大臣もよく御存じだとは思いますけれども、本当に住宅の密集地をこうして通っていく、しかも世帯数が増えているということはおつかみになっているのかどうか、これは是非お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(谷口博昭君) お答えします。
第二名神が通過する枚方市のお尋ねございましたが、人口が約四十万人、面積約六十五平方キロメートルで、人口密度で見れば全国の市町村で上から八十番目程度ということで、人口が比較的密集している地域と考えております。枚方市内の第二名神がある都市計画決定は平成七年の七月に策定されました。現在、当該道路上の家屋数はおおむね三百八十軒程度となっております。家屋数の変動につきましては詳細な調査を行っておるということではございませんが、都市計画法上の一定の制限があることからも、都市計画決定当時と比べて大きな変化はないものと考えております。
○小林美恵子君 いわゆる家屋の詳細な調査は行っていないというふうに先ほど局長はおっしゃられました。それ自体が私は本当に問題だというふうに思うんです。
先ほど私は世帯数は増えているというふうに申し上げました。増えているんですよ、本当に着実にね。道路の予定地のその下だけの問題じゃないですよね。当然周辺の方にも大きな影響を及ぼしていくわけですから、そこはしっかりとつかんでいただきたいというふうに思うんです。
それで、そういうことを申し上げまして、私は、最初、局長がいわゆるネットワークの開通といいますと三年、四年後になるかというふうに御答弁がございましたけれども、そういうふうになりますと、判断するのはそれから以降ですよね。ですから、やはりもう整備計画から外していただいて、基本計画に戻して、それでこういう住民の皆さんの重大な悪影響を被る地域住民が求めている必要な環境影響調査もきちんとやり直すべきではないでしょうか。その上で検討すべきではないでしょうか。どうでしょうか。
○政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。
環境影響評価についてでございますが、第二名神の抜本的見直し区間の環境影響評価につきましては、「建設省所管事業に係る環境影響評価の実施について」ということでいわゆる閣議アセスに基づき行われておりまして、大阪府下の区間につきましては平成七年七月の都市計画決定と同時に実施されております。
当初の環境影響評価からかなり時間が経過しているということで、改めて評価を実施し、また整備計画を見直すというようなお尋ねでございますが、将来交通量につきましては、最新の見通しは都市計画策定時見通しと比べて下回っているなど、環境上悪影響を及ぼす変化が見られないということでございますし、また平成九年度に制定された環境影響評価法附則の第三条により、同法施行前に整備計画が策定された高速自動車国道事業につきましては、同法による評価手続を改めて実施しないことということになっております等々から、現時点では改めて環境影響評価を行う予定はございません。
○小林美恵子君 いえいえ、高槻の方はこれもう本当に大変なんですよね。高槻インターチェンジが造られることによってアクセス道路の整備も計画されています。そのアクセス道路であります牧野高槻線といいますのは、本当に周辺自治会の住民の皆さんからも反対の声が上がっていますけれども、話を聞きますと、都市計画決定されたのは一九六三年です。もう本当に四十年以上も前のことなんですね。そうしますと、車の通行量もその住宅環境も随分大きく変化しているわけです。しかも、第二名神の環境アセスでもう十三年前です。大気の調査が行われたのは季節ごとでございまして、年間四週間しかやってないんですね。これでは本当に住民は不安でたまらないという声です。私は、やっぱりきちっとやらなくてはいけないというふうに思うんです。その点を御指摘を申し上げておきたいと思います。
それで、先ほども申し上げましたけれども、私は、第二名神、抜本的見直し区間、整備計画から外しても国が交通量調整とか環境影響調査を行うということは可能だと思います。何も今計画に置いといてやらなくてもいいんじゃないかと思うんですね。ですから、国幹会議を受けまして、今月中にもでしょうか、高速道路株式会社と協定を結ぶかと思いますが、この区間についてはやっぱり協定を結ぶべきではないということを思いますけど、この点、大臣、いかがですか。
○国務大臣(北側一雄君) これにつきましては、もう既に先ほどの国幹会議におきまして、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、主要な周辺ネットワークの供用後における交通状況等を勘案して改めて判断することとし、それまでは行わないというふうに明記をしたところでございまして、現時点で更に整備計画そのものを見直す考えはございません。
○小林美恵子君 私は、それで何が抜本的見直しなのかというふうに本当に思います。本当に住民の皆さんは大変不安に思っておられますから、抜本的というふうにおっしゃるんでありましたら、もうこの際きっぱりと整備計画から外して建設は中止すべきだということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました