日本共産党参議院議員 小林みえ子 国会質問 環境と健康破壊する貨物施設移転ただす

162-参-決算委員会-10号 2005年04月27日

○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。

 今日私は、大阪梅田貨物駅の移転計画に伴います環境問題について質問をいたしますけれども、国交省さんにも、副大臣にもお越しいただいておりますので、先日起こりました、まず初めに、JR福知山線の脱線事故について質問をいたします。

 今日の午前中の本会議でもございましたけれども、死者が九十一名、負傷者四百五十六名と、最大の鉄道事故となりました。私は改めて、亡くなられた方の御冥福をお祈りすると同時に、負傷者の方々に心からお見舞いを申し上げます。我が党は対策本部をつくり、私も事故当時、脱線現場、また負傷者が収容されました関西労災病院にも参りました。昨日はJR西日本会社にも緊急申入れをさせていただきました。

 とにかく、この路線というのは過密ダイヤでございます。車両は軽車両で、しかしながら、カーブがあるといいながら、そのところには制限速度に応じてブレーキを掛けるという自動停止装置がない、また脱線防止のガードレールも規定外として設置されていないという状態でございました。現状に合い、現場に即した安全対策が講じてられないということがやっぱり重大な問題だというふうに思います。今日の毎日新聞を見ますと、毎日新聞にも、この背景にはJR西日本の安全軽視、営業優先の体質が強くうかがえるというふうに報道記事がございました。正に安全軽視に、そのJRの姿勢に問題があるというふうに私も言わざるを得ないと思います。

 それで、こうした事故が二度と起こらないようにということで、原因の究明と、安全そして人命優先のそういう対策、例えば今の現行の規定も見直すことも含めた対策がやっぱり求められると思います。この点、国交省としてどう講じられるか、御質問したいと思います。

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 かねてより、安全は運輸サービスの基本でございまして、そういう観点から安全対策には全力を挙げて取り組んでまいりましたけれども、今回のような誠に悲惨な、多数の死傷者が生じたということは誠に遺憾なことでございます。国土交通省といたしましては、事故発生後、直ちに北側国土交通大臣と鉄道局長が事故現場に急行いたしました。また、国土交通大臣を本部長といたします福知山線事故対策本部を設置するなど、事故の対応に全力を挙げておる最中でございます。

 国土交通省といたしましては、かかる安全対策の徹底を図る観点から、事故直後、二十五日でございますけれども、公共交通事業者あてに文書を出しまして、改めて安全対策の徹底を図るということが第一、そして、その際、本社の安全担当の責任者が直接現場に赴いて現地を確認すると、そういう内容でございますが、そういったことを強く要請したところでございます。また、航空・鉄道事故調査委員会は、委員四名と調査官五名に加え、本日更に追加で専門委員一名を派遣いたしまして、総勢十名で全力を挙げて事故原因を調査しているところでございます。

 まずは被害を受けられた方々への対応を最優先しなければなりませんが、事故原因の徹底的な究明、そして今後の事故再発の防止に全力を挙げてまいりたいと考えておるところでございます。

○小林美恵子君 再発防止に全力を挙げるというその中身を本当は答弁してほしかったと思いますけれども、改めて、安全それから人命優先の立場で厳しく対応していただきたいということを強く申し上げます。

 では、今日予定していました質問に移らしていただきます。

 大阪梅田駅の貨物施設を分割して、十キロ離れた吹田操車場跡地と大阪市百済の二か所に移転するという資産売却計画が今進行しています。元々この問題は、今から十八年前、一九八七年に国鉄が分割・民営化されて、清算事業団に長期債務二十五・五兆円が継承されたとき以来の問題でございます。

 この問題につきまして、特に吹田への移転に伴いまして、会計検査院が、二〇〇一年度でございますけれども、決算報告で指摘している部分がございますので、中略をしながら紹介をさしていただきます。

 事業団は、売却可能の資産価値を高めることを方針としていたが、経済情勢の変化により土地価格が下落したものの、当初の処分計画を見直すことなく、施設を移転、集約したり、不用の鉄道施設を撤去したり更地化している、高架橋の撤去など多額の費用が要するというふうに指摘をされています。

 そこで、私は国交省にお聞きしますけれども、この梅田貨物駅の移転、売却について、政府の方針どおり旧国鉄からの債務を返済することが可能になるのか。なるとすれば、その根拠について簡潔にお答えいただけますか。

○副大臣(岩井國臣君) 鉄道建設・運輸施設整備支援機構の所有いたします梅田地区の土地でございますけれども、JR大阪駅北側に隣接する約二十ヘクタールの土地でございます。

 梅田貨物駅の移転が完了しなければ更地化できない区域が約十三ヘクタールございます。移転にかかわらず、不用施設等の撤去によりまして更地化が可能な先行更地化区域と言っていますけれども、そういったところが約七ヘクタールございまして、両者は明確に区分されております。その先行更地化区域約七ヘクタールにつきましては、一部の施設を除き、ほぼ更地化が完了しておりまして、そのうち約三ヘクタールについては、平成十七年三月三十一日に都市再生機構に売却したところでございます。

 梅田貨物駅の移転につきましては、平成十一年一月、梅田貨物駅機能を吹田地区へ約半分、残り約半分を大阪市内に移転させるということといたしまして、大阪府、吹田市、摂津市等との間で基本協定を結んでおる。正式には梅田貨物駅の吹田操車場跡地への移転計画に関する基本協定書と言っておりますけれども、そういった基本協定を締結いたしまして、現在、吹田地区につきましては、その基本協定を踏まえた工事着工を進めるべく環境影響評価等の諸手続を進めておる最中でございます。また、大阪市内への残り半分の機能移転につきましては、平成十六年一月に、百済貨物駅を改修いたしまして移転する、そういう方針を大阪市に通知いたしまして、目下地元説明を進めている最中でございます。

○小林美恵子君 私は計画の推移をお聞きしているんではないんです。要するに債務を返済することになるのですかと、どうなるのですかということをお聞きしたので、そのことについて答弁していただきたかったんですけど、改めて聞きます。

 そうしますと、売却見込みは幾らで移転費用は幾らになるのか、ここはっきりしていますか。簡潔におっしゃってください。

○副大臣(岩井國臣君) 売却収入あるいは移転費用につきましては、もちろん一定の見積りは行っておるわけでございますけれども、梅田貨物駅跡地は公開競争入札等で売却することとなっております。そういうことでございますし、それからまた環境対策ですけれども、環境影響評価等が終わらないとなかなか対策費がはじけないというふうなこともございます。

 そういうことで、現在の段階では売却収入等の見込みについて明らかにすることはちょっと難しいと考えております。

○小林美恵子君 明らかにすることは難しいというのは、私は極めて無責任な状態だというふうに言わざるを得ないと思います。

 例えば、移転先の吹田操車場跡といいますのは、従来から貨物駅の役割は全く果たしていません。ですから、この貨物駅が移転することになれば新たに建設しなければならないんです。しかも、貨物自動車の専用道路を造ることになりまして、機能している鉄道の下に地下部分も造って、更に機能している線路一本を撤去するんですね。高架ののり面を削る大工事になります。そうなると、その債務に比べて目に見えて貢献するような計画どころか、更なる赤字を生まざるを得ないというふうな、そういうことになりかねないというふうに私はちょっと御指摘を申し上げたいというふうに思います。

 そこで、環境大臣にお聞きしていきたいと思いますけれども、既に移転先と予定されている吹田市、大阪市、また大阪市内の百済、それから東淀川の住民の皆さんから猛烈な反対の運動が起こっています。具体的に移転先となる吹田では環境破壊問題が懸念されていますけれども、ここで基本的にお聞きしたいんですけれども、環境大臣として、地方自治体が制定する環境条例、その目標値についてはやっぱり尊重されるお立場でしょうか。尊重されるか否かだけお答えいただけないでしょうか。

○国務大臣(小池百合子君) お尋ねでございますけれども、御承知のように、地方公共団体が法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるわけでございます。これは憲法にも、また地方自治法でも規定されているところでございます。

 環境行政の分野では、こういった地方公共団体が独自の観点からより良い環境を求めるという趣旨で条例を定めたり、また独自の基準を定めたりしておられるわけでございますが、これらについては、国と地方公共団体の取組が相まって環境行政の実を上げることが重要であると考えておりますし、その意味で地方公共団体が積極的に独自の取組を行うことは重要だと考えております。

○小林美恵子君 尊重される、重要だというふうにおっしゃられました。

 それでは、国交省さんに改めてお聞きしますけれども、先ほど副大臣も御答弁になりましたこの移転問題につきましては、五者で結んでいる基本協定がございます。大阪府、吹田市、摂津市、また現在のいわゆる独法の機構でございますね、それからJR貨物です。この六条に、住民の意見を可能な限り事業計画に反映させ、円滑な合意形成に努めるということがあります。また、三条には、環境悪化をさせないような対策を講じるということがあります。こういう条文に対しましては遵守をして尊重して進めるということには間違いはないですか。もう、済みません、イエスかノーかでお答えください。

○副大臣(岩井國臣君) イエスでございます。

○小林美恵子君 明確な御答弁、ありがとうございました。
 では、具体的にお聞きしていきたいと思います。

 お手元に資料が配付されていると思いますけれども、一枚目は、我が党の吹田市会議員団がこの事業の移転に伴いまして町がどうなるかという、示した図でございます。

 吹田はごらんのとおり、今でも中央環状、名神高速、新御堂筋、十三高槻線、庄内新庄線と、とにかく幹線道路に囲まれた地域でございます。こういうところに、ピンクで示したところが、いわゆる貨物駅ができますと、貨物の専用の自動車が走る専用道路がこのピンクのところです。赤の矢印は、その貨物の自動車が一般道路も含めて走るというふうに言われている印なんですね。で、その貨物専用の、その貨物の自動車といいますと一日千台というふうに言われています。しかも、窒素酸化物や浮遊粒子状物質排出を乗用車で換算しますと、千台どころか四万台に匹敵するというふうに言われています。これが通るわけですね。

 二枚目の資料をごらんいただきたいと思いますけれども、この資料は吹田市が発行しました資料です。二酸化窒素濃度の一日の平均値を年度別に推移を表したものでございます。〇・〇四というのは吹田市の目標値、それから〇・〇六といいますのは国の基準です。これをごらんいただきますと、すべての観測地点で吹田の基準、吹田の目標値を全部上回っているということになります。

 それで、先ほど大臣は、環境大臣は地方自治体のその条例、尊重されるとおっしゃいました。そういうことからいきますと、こうした今の状態で更に一千台の貨物自動車が走行すれば、環境悪化は目に見えています。今でも悪化をしています。これに、大臣はこうした状態を容認できますか、いかがですか。

○国務大臣(小池百合子君) 先ほど地方自治体、地方公共団体が制定をする条例についての御意見ということでお答えを申し上げました。

 ただ、個々の事例についてはそれぞれのケースに即して考えなければなりませんし、また、一般的には、国と地方の役割分担の中で地方環境の保全のために地方が独自の取組をされるという姿勢が尊重されるべきであると、このように考えております。

 そして、具体的にこの一般例、個々のケースとしての吹田市でございますが、一般環境大気測定局の三局、それから自動車排出ガス測定局の一局が市内に設けられております。平成十五年度において、すべての選定局で二酸化窒素、そして浮遊粒子状物質、いわゆるSPMの環境基準は達成されておられると聞いております。また、吹田操車場への移転に伴う大気環境への影響の評価について、吹田市の環境影響評価条例に基づいての手続が進められていると、このように聞いております。

 ちなみに、予測では、十五地点の汚染濃度が計算されておりまして、沿道の直近のごく一部の箇所で二酸化窒素の環境基準を〇・〇〇一ppmオーバーするという予測となっておりますけれども、他のほとんどの地点におきましては環境基準を満足する結果となっているというのが現状でございます。

 いずれにいたしましても、今後事業者が、鉄道建設・運輸施設整備支援機構でございますが、この事業者が作成いたしました環境影響評価書に対して吹田市長が意見を述べられる、さらに事業者においてそれを踏まえて適切な対応がなされると、このように考えているわけでございまして、当事者において環境保全に最善を尽くしていただくということを期待をいたしているところでございます。

○小林美恵子君 先ほど大臣の答弁の中にも、一つの地域では環境基準を悪化する地域があるというふうにおっしゃいました。そういうところ一つでもあったら問題だと私は思うんですね。それが問題だというふうに御指摘なさらないというところがまた問題だということを申し上げておきたいというふうに思うんです。

 それで、この専用道路が家の前に建設される住民の方は、それこそ大気汚染、また騒音、それから四メートルの防音壁ができるそうですけれども、日照の問題も出てくると。家を引っ越したいけれども引っ越せない、夏は暑くても騒音や排気ガスで窓を開けれない、機構はクーラーや二重窓など個人の家についての補償をしないと怒りの声が上がっています。

 この間も、環境影響評価では、まず機構が出された地元に対する環境破壊に対する意見書が一万一千、これは二〇〇二年です。次いで、今年三月には、機構の環境影響評価に対する意見書が、三十四万人人口の吹田で三万百九十四通、環境悪化につながるとの反対の意見がございます。

 私、改めて聞きます。いろいろ大臣おっしゃいますけど、これだけ市民の皆さんが、国民の皆さんが環境悪化につながるというふうに言っているわけですから、やっぱり大臣はこうした住民の声について、この環境省とする、環境行政の所管の大臣としてやっぱり改善策を取っていくべきだというふうに思いますけど、その点はいかがですか。

○国務大臣(小池百合子君) 今、意見書三万通すべてが反対とおっしゃいましたけど、まだ現時点での解析は終わっていないと聞いております。いずれにしましても、たくさんの意見が寄せられたということは聞いております。

 いずれにいたしましても、この吹田市の条例に従って事業者が環境アセスメントの手続を進めておられるところでございまして、吹田市の環境影響評価審査会で今後この意見を、住民の皆さんの意見の取扱いを含めた検討がなされると承知をいたしております。住民そして自治体、事業者、それぞれ地域におきまして適切な判断がなされるということを期待をしているところでございます。

○小林美恵子君 適切な判断がなかなか出されなくて、住民の皆さんはやっぱり環境悪化につながるというふうに、本当に環境悪化というのは住環境が破壊されているんじゃなくって、健康も破壊されていくわけですよね。だから、そういう意味では本当に重大な問題だと思います。ですから、こういう市民の皆さん、住民の皆さんの声を私は環境大臣としてもしっかりと受け止めていただきたいというふうに強く申し上げたいというふうに思うんです。

 改めて、いかがですか、お伺いします。

○国務大臣(小池百合子君) 先ほど来お答えをしているとおりでございます。

 環境を守るということは大変重要なことでございますが、今いろいろな手続が行われているところであり、それぞれの担当、関係自治体、そして事業者、住民の皆様方、こういったところが一体となって審査をしていただければ、そしてまたその審査結果を踏まえて出されます吹田市長の意見を尊重して事業者が事業に取り組むという、このようなプロシージャーになっております。適切な判断がなされることを改めて期待したいと、このように思っております。