地球温暖化国際交渉進展、08年に次期枠組み向け見直し合意
ケニヤのナイロビで11月6~17日に開かれた気候変動問題(今後の地球温暖化対策)に関する国際会議は、締めくくり閣僚級セッシヨンで、京都議定書の見直しを2008年に行うことなどで合意、次期枠組み国際交渉の道筋をつけて閉幕しました。
懸念されていた先進国と途上国の決定的対立は回避され、2013年以降の温暖化ガス削減に向けた枠組み作りが何とか動き出すという成果が得られました。
日本からは若林正俊環境相を筆頭に、外務省、環境省、産経省幹部が出席しました。
88年全面合意に向け、次期枠組み交渉加速化?
今回のCOP12とCOP/MOP 2の主要テーマは、京都議定書によるCO2など削減義務を負う先進国(米国等除く)が次期枠組み作りに途上国を巻き込む狙いを背景にした今後のプロセス化論議と、途上国側にとって最優先課題の気候変動への「適応」や技術移転等支援策の具体化、CDMの改善などでした。会議の結果は、先進国側の意図と途上国対策・援助等がセットでおおかた合意された形です。
次期枠組み交渉では、2008年のCOP/MOP4で議定書の見直し論議を集約する方向を示し、それに向けたプロセスとして来年の合同会で削減目標・削減方法・削減期間などの見直し範囲と内容を検討することが合意されました。ただ、その場合に先進国への新たな削減約束と、途上国に対する何らかの削減義務を課すかどうかについては、最終的な合意が定かではありません。いずれにしても、わが国も主張していた「先進国による新たな削減約束」(議定書3条9項)と。
「議定書見直し」(同9条)の一体的検討、また「空白を生じない国際的取り組み」が一応合意されたことにより、次期枠組交渉が停滞から「進展」に転じる局面になりました。
注目される米国の変化と中国への圧力包囲網
次期枠組みプロセス合意の背景には、従来から「温暖化対策はまず先進国の責任で対処すべし」と主張してきた中国等の軟化がありました。今回も途上国側はG77+中国というグループで交渉に臨んだが、中国が09年頃には米国を抜いて世界最大のCO2等排出国になるという見通しや、CDMプロジェクトでのほぼ独占状態など、途上国内での批判や国際社会全体からの圧力が強まっている状況もあったようです。
それに対して中間選挙で民主党が議会に過半数を制した米国は、温暖化への対処方針に今回特段の変化はなかったようだが、民主党内における環境重視勢力の台頭によって徐々に変わると見られています。ただ、本格的な米国方針の軌道修正は08年の大統領選挙後と見られており、次期枠組み交渉の決着は08年に日本で開催されるG8サミットでの論議も踏まえ、09~10年頃となりそうです。
(週刊エネルギーと環境1917号より)