日本の若者は、資本主義が彼らの状態を悪化させているため共産党へ回帰している。

『デイリーテレグラフ』(イギリスで最大の購読数をもつ日刊紙)オンライン版 日本の若者は、資本主義が彼らの状態を悪化させているため共産党へ回帰している。

きらめくデザインの店、世界第二の経済、高級ラベルへの飽くなき貪欲でもって長らく日本は興隆する資本家の国と看做されてきた。

東京発;ダニール ディミトロウ
2008年10月18日 午前9時19分update
訳;西野 勉(高知大学名誉教授,経済理論学会会員)

しかし、若い労働者たちの間での不満の波が国民の政治的状況の変化に火をつけている;共産主義が突然に再流行しているのだ。

多くの日本の若者の経済的保障および雇用における諸権利の侵蝕が、積年の政治的停滞と結びついて、彼らの群を、日本で4番目に大きい政党である日本共産党の腕の中に追い込んでいる。1ヶ月に1000人の割合で新入党者が増え、現在41万5000人以上にその規模を膨らませている。この間、古典的なプロレタリア小説がベストセラーのトップになり、共産党員をテーマにしたいくつかの「まんが」コミックが急速に受け入れられている。

近年、変革への強い願望より政治的無気力で有名であった日本の若者のあいだで起こっている政府への不満の増大の兆しは、首都のいくつかの通りでの労働者のしばしば生じる(デモ)行進に現れている。

今月はじめ、5000人の日本の若い労働者の群れが、彼らの働きの条件に関する増大する政府への不満を表明するために、日本の中心東京の通りを行進した。

そして、今日のグローバルな信用危機と連結して進行すると思われる失業、金融の不安や社会的不満が共産党の規模を増大させると見られる。

左翼への急接近の先頭に立っているのが20才台、30才台の若い層であって、彼らは雇用関係諸法の変更にますます幻滅を抱くようになってきており、この雇用関係諸法の変更こそ、彼らの不安定な状況を創り出した責めを負うべきものなのだとみなすようになっている。

この国の労働力の約44%が期間限定のもので、短期契約雇用によって職を渡り歩く夥しい数のフリーランサーの発生が、この間創りだされて来た。

日本共産党の国際局次長の森原公敏は、「新しい今日の労働法が導入された2002年に若い世代の労働条件は劇的に変化した。」と述べている。

今日、日本人(労働者の)3人に1人以上が非正規の仕事に置かれている。 「こうした問題が長らく無視されて来たがゆえに、日本の政治的気分は変化しつつあり、より多くの若者が政治的に目覚めてきている。」議会運営の行き詰まりが3年間たたないうちに3人目の首相となった福田康夫を突然の辞任に追い込んだあと、引き続いて生じてくる数ヵ月後の総選挙を迎える局面で、確固とした左翼の政治政策の復活が生じてきているのである。

この国の硬化した政治システムは自民党が殆ど50年間に渉ってその権力を保持するのを可能にしてきたが、その権力は、昨年主要な反対政党が参議院のコントロール力を勝ち取ったために、決定的に減殺された。 復活しつつある日本の共産主義は、重要な役割を果たしつつあるインターネットやオンラインビデオサイトを含めて、21世紀のあらゆるツールを組織的に活用しつつある。

共産党のカリスマ的委員長志位和夫は、若い労働者の「搾取」を攻撃する目を見張る演説を議会で行ったのであるが、これが新しい入党者の激増の引き金となった。それは、ビデオウェブサイト上で、若い人たちの間で熱狂的に視聴されてきているのである。

グレイのサラリーマンスーツを着、メガネをかけた54才の志位氏は、旧来の革命家のステレオタイプとは全く違った話し調子で人前に登場している。しかし、党の指導者としての8年間を経験して、彼は一目置かれるメディアの有名人としての重要な地位に押し出されてきた。

最近彼に影響を受けるようになった人達の中に、福岡の福津市出身の34才のフリーランスライターである三木トモヒロがいる。彼は言っている。「私が志位氏の話しているのを見た時、まさに彼が最も残忍な形態にある資本主義を暴き出しているように感じた」と。「入党する前にこの党についてもっと知るためにインターネットを見て回った。」愛知県出身のトヨタの期間労働者の大森シュウジ30才は、6月に入党したのであるが、次のように彼は付け加えている「大学卒業以来自分は一度たりとも正規雇用になれなかった。日本共産党の勉強会で、自分は日雇い臨時雇用の実態や社会保障もボーナスも無く、しかもしばしば簡単に解雇されるワーキングプアについて学んだ。」と。

「党は若者の仕事や生活状態を含めて、その置かれている状況について真剣に考えている。党はこうした諸問題に対する具体的な政策をもっている。」左翼への増大する心情接近のもうひとつの表れは、資本家たちの抑圧に対して立ち上がって闘った工場労働者について描いた古典的な日本の一小説―「蟹工船」の人気が突然に広がったことである。

それは80年近く前に、その政治的信条のゆえに29才で拷問死した共産党員小林多喜二によって書かれたものであるが、その販売数は年間5000部のゆるやかなものだったのが、今年はこれまでに50万7000部に跳ね上がり、この予想外の急激な増大によって国民的ベストセラーリストのトップにまでなっている。

同じこのマルキストの物語を描いている「まんが」コミックブックは、年間200,000部を売り上げ、若い日本人の間で同じく人気を博している。その漫画を出版しているEast Pressの編集者マルオコウスケは、「この物語は、いわゆるワーキングプアの今日の状態を非常に生々しく代弁するのに成功している。」と述べている。

彼らは、懸命に働いているが、幸せを得られず、また彼らの貧困の解決を見出すことが出来ないでいる。今日、非常な低賃金で働くことを強いられているこうした若者達は、自分達が蟹工船の乗組員達と同じ地位に置かれているのだと感じてきて来ているのかもしれない。

東京出身のフリーランサー作家、高橋キュウドウ31才は、その物語の人気の原因を、彼の世代の間で増大している生活・職に関する不安定感にあると考えている。 彼は言う。「蟹工船は、学校でのひとつのテキストブックではあったが、我々は真面目にそれを読まなかった。」「今、我々は、政府への不満に突き動かされてそれを再び読むようになっている。」

「この本の中で、人々は繰り返し搾取される。彼らは、人間として扱われず、ハンバーガー工場の牛以下の状態である。これこそが多くの人が今日感じていることそのものなのだ。我々が仕事を見つけるとそこで我々はいつも搾取される。我々は将来の保証を感じることが出来ないでいる。」